海辺の足湯に、ひとりの「旅人」がいる。
冷え切った足を抱えたその存在は、誰にも知られぬまま、やがて海へと還っていく。
産後ケアセンター「ひまわり」に、実習生の青年がやってくる。
圧倒的な輝きを放つ乳児たちの隣で、疲れ切った母親たちや、長引く不妊治療に苦悩する助産師たちが今日の生存を喜び抱き合う姿に、自身の存在が揺らぐ。
そして、まだ来ぬ一組の母子が、彼らを冷たい海へと引き寄せるのだった。
―プラズマみかん、20年目の結実は、海辺の足湯と産後ケア施設を舞台に、
すくい上げられるものと、こぼれ落ちていくもののあいだで、ただ揺れている。
